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2023年04月24日

14期卒業生インタビュー 〜スタートアップの登竜門で、人・企業と緊密な関係を構築する〜

ASACストーリー

スタートアップの登竜門で、人・企業と緊密な関係を構築する

 
東京都は青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC=エーサック)で、15期にわたってアクセラレーションプログラムを主催してきた。14期卒業生であるCloudbase株式会社(旧Levetty株式会社)の岩佐晃也代表取締役、株式会社DENDOH(デンドウ)の押田大輝代表取締役、株式会社RapidXの正留世成代表取締役CEOに、アクセラレータープログラムを振り返ってもらった。


株式会社DENDOH
押田大輝(おしだ・たいき)
代表取締役


株式会社RapidX
正留世成(まさる・せな)
代表取締役CEO


Cloudbase株式会社
岩佐晃也(いわさ・こうや)
代表取締役


デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社
ASACアクセラレーションプログラム業務責任者
會田 幸男



点ではなく、面という観点からのビジネスモデルを構築するために応募


――アクセラレーションプログラムに応募した理由について教えてください
 
岩佐: クローズド型のβ版を昨年3月に出しました。しかし、当社は大学発ベンチャーで、大企業とのコミュニケーションの進め方をはじめとして、分からないことばかり。「大企業の意思決定はこうだよ」といったアドバイスをいただきたくて応募しました。
正留: ASACはスタートアップにとって登竜門的な存在で、憧れがありました。また、「この会社と組んで事業を展開したい」といった、「点」の考えはありましたが、それらをまとめて「面」という観点からのしっかりとしたビジネスモデルや、資本政策の部分は曖昧だったので、そこを固めたいと思いました。
押田: 別のコミュニティでの知り合いや先輩が毎期のように参加していて、情報が耳に入ってきていたため、興味を抱いていました。資金調達を行うタイミングだったし、企業と事業を進めるうえでの助言を求めたいという考えから応募しました。
 
 

最終面接の一言を参考に目標の新たな方向性を定める


――プログラムでは5カ月後の目標をどう立てて、どのように達成したのかという部分を大事にしています。どういった目標を立てたのか。アクセラレーターの支援に対する感想を交えながら振り返ってください。
 
岩佐: 最初は顧客獲得数などを検討しました。しかし、事業計画や資本政策などを含めていったん置き、最終的には「何人からフィードバックをもらうか」という目標を設定しました。結果的にそれがよかったです。直接つながっていない人を含めて、アクセラレーターは人をどんどん紹介してくれて、色々な企業の状況を把握でき、「これはいけそうだよ」「難しいかな」といった意見をいただけたからです。そういった出会いから話が進んでいるケースもあります。また、目の前のことだけに一生懸命に取り組みがちになりますが、「こんな風に考えたらよいのでは」といったアクセラレーターによる壁打ちは良かったですね。
正留: 目標は座組をしっかり決めることと、最初の資金調達をいつぐらいにどんな形でやるのかということを、定めることでした。結果として、ゼネコンや損保会社などの協業先をしっかりとイメージでき、実際に座組みをビジュアル化できました。資本政策に関しては「ここまで技術を引き上げてからにしたほうがいい」「どういった会社やVCから調達すればよいのか」といった課題が見える化できました。建設現場で、火災はどういった状況で発生するのかを自分の眼で確認したかったのですが、真夏で暑い中ヘルメットが必要な現場にアクセラレーターにも視察の同行をしていただき、ありがたかったです。
押田: プロダクトは自分で作り、ユーザーをいかに獲得できるかが当初の課題でした。ASACプログラムの最終面接時に「消費者向けに展開するよりも、もう少し手堅くユーザーを集める方法があるのではないか」とのアドバイスがあり、企業向けの協業案件を積み重ねることで、ユーザーを獲得していくという方向性を定めました。このためアバターやIT関連の事業者、広告代理店などにひたすら会うことを目標設定にし、アクセラレーターの支援によってつながりができました。


 

多種多様なプログラムに参加することで、色々な発見が可能


――目標を設定する過程で、アクセラレーターとの認識のギャップなどはありませんでしたか

押田: われわれのサービスはメタバースやアバターなど、認知度が低く、事例もどれを参考にしようかといったものばかり。最初から自分たちで見つけるしかないかなあと思っていました。ただ、企業と連携しようという方向性が定まった時に、私の中でASACの活かし方に関するビジョンが見えてきて面談も順調に進み、期待値のずれなどは見えなくなりました。
 
――ASACはキックオフからデモデイまで18回のイベントがありました。特に印象に残っているイベントやプログラムは何でしょうか
 
正留: 先輩の話は、とてもためになりました。会社が成長していると次元が違い、あまり参考にならないこともありますが、「その当時、こういったことをしていた」というのを聞くことで、「自分もこういった風にやればいい」というのが分かってよかったです。
岩佐: 幅広く充実したコンテンツを用意していた点です。その中には「この内容は知っている」という回もありましたが、おさらいのような形で学べて良かったです。知識の凸凹をなくすのに役立ちました。それを踏まえると、「まだ、何も考えていません」といった起業家でも、たくさんのプログラムに参加して色々な発見をできるかもしれませんね。また、同期との間で「こんなことに困っています」などと話し合えるイベントも印象に残っています。そういった悩みがあるからこそ、「事業面でどうですか」といった話ができますので。
押田: 起業家は過剰な自信があり優秀な人が多い。続けていたらいつか成功する人と思っており、続ける環境をいかに構築するかが重要で、コミュニティがカギを握ります。その意味で、非公式イベントですが飲み会は良かったですね。
迷っているのであれば応募してほしい

――フェーズが近いので、他企業から学べるのがプログラムの良さです。また、12社が同時に走っているゆえの価値と言ってもよいでしょう。ASACの採択企業という枠組みでやっているため、一定の信用度もあります
 
正留: 同期の中でもちょっと前を走っている先輩起業家の存在が勉強になります。「こうやって会社にアプローチすればよいのか」といったころが理解でき、ラフに相談できる関係づくりが良かったです。私にとって同期の大半は先輩というイメージ。ラッキーでした。
岩佐: 人材採用や資金調達において「この場合は、みんなこうした感じでやっているのだろうなあ」といった相場観が分かり、基準ができました。
 
――横のつながりだけでなく、アクセラレーターやメンターとのつながりを卒業後も持続してほしいと思っています。プログラム期間中に構築したネットワークや商談の機会も大事にして、今後の事業に生かしてくれればありがたい。これから応募する人へのメッセージをお願いします
 
押田: 迷ったら動くことが必要です。この記事を見ている段階で起業を考えていたら、応募すべきでしょう。動いて後悔した方がいいし、多分、後悔することはないと思います。
正留: 応募書類を作成する際は事業案をブラッシュアップしないといけないので、その時点で勉強になります。また、面接では「そこは考えていなかった」というのもあり、それについて考えること自体が事業の成長に直結するフェーズの会社も多いと思います。ぜひとも取り組んでほしいですね。
岩佐: 迷っているのであれば、ぜひともチャレンジしてください。
 

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